機械式時計の保管方法|ワインダーは必要?修理技能士が「安物は買うな」と言う理由

機械式時計の保管方法|ワインダーは必要?

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こんにちは、ふたさまです。一級時計修理技能士として、腕時計の修理に携わっています。

機械式時計を買うと、気になってくるのが「使わないときの保管」。とくにワインダー(時計を回して自動で巻き上げてくれる機械)は、ネットで数千円から売っていて、つい欲しくなります。

でも、修理する側から正直に言うと、安いワインダーは「安物買いの銭失い」です。

この記事では、その理由と、ワインダーなしでもできる機械式時計の保管方法をまとめます。


結論:安いワインダーは買わないほうがいい

  • 安いワインダーは、磁気帯び・ぶつけ傷・巻き上がらない・すぐ壊れるといったトラブルが起きやすい
  • ワインダーは「止めないための機械」で、時計を長持ちさせる機械ではない
  • 高い時計を持っている人は、高いワインダーを使うべき
  • 買うなら最低でも1万円以上。それを「高い」と思うなら、ワインダーはいらない。止まったら巻き直して時刻を合わせればOK

安いワインダーで実際に起きるトラブル

1. 磁気帯び

ワインダーは、中のモーターで時計を回しています。モーターは磁気を出すので、作りの甘いワインダーだと、時計が磁気帯びしてしまうことがあります。

磁気帯びすると、時計が急に進んだり遅れたりします。せっかく止めないために置いていたのに、精度が狂ってしまっては本末転倒です。

関連記事:腕時計の磁気帯び、原因と症状と直し方

2. ワインダーのケースにぶつかって傷がつく

時計を固定するクッションが合っていなかったり、時計がしっかり留まっていなかったりすると、回っている間にワインダーのケース部分にぶつかります。

毎日何百回も回るので、そのたびにコツコツ当たれば、ケースやガラスに傷がつきます。修理の現場でも、ワインダーが原因と思われる傷はよく見ます。

3. そもそもワインダーで巻けない時計もある

ワインダーに載せておけば、どんな機械式時計でも巻き上がるわけではありません。

  • 手巻き式の時計は、回しても巻き上がりません
  • 自動巻きでも、巻き上げの向きや必要な回転数が時計ごとに違い、設定が合わないとうまく巻き上がりません
  • 時計の大きさや形によっては、ワインダーにきちんと固定できないこともあります

安いワインダーは、回転方向や回転数の設定が細かくできないものが多く、「載せていたのに止まっていた」ということも起きます。

4. ワインダー自体が壊れやすい

安いワインダーは、ワインダーそのものがすぐ壊れます。 モーターが止まる、回転が不安定になる、異音がする……。

壊れたワインダーに載せたままだと、時計は結局止まってしまいます。数千円で買っても、すぐ買い替えになれば、それこそ安物買いの銭失いです。


ワインダーは「長持ちさせる機械」ではない

勘違いされやすいのですが、ワインダーは時計を止めないための機械です。

止めないことで、カレンダーや時刻を合わせ直す手間は省けます。でも、回し続けているあいだ、時計の中の機械はずっと動いています。つまり、そのぶん部品は使われ続けているということです。

止まった時計は、リューズを回して巻き、時刻を合わせれば普通に動きます。止まること自体は、時計にとって悪いことではありません。

関連記事:腕時計の時間の合わせ方|動画で見るリューズの基本操作

ただし、ずっと止めっぱなしにはせず、1か月に1回くらいは巻いて動かしてあげてください。


ワインダーなしでできる、機械式時計の保管方法

磁気を出すものから離す

スマホ、パソコン、タブレット、スピーカー、バッグのマグネット留め具などは、磁気を出しています。時計をこれらの上やすぐそばに置かないようにしましょう。

時計どうしがぶつからないようにする

複数の時計をまとめて引き出しに入れると、時計どうしがぶつかって傷がつきます。1本ずつ仕切りのある時計ケースに入れるのがおすすめです。

時計ケースを選ぶときは、次のポイントを見てください。

  • 1本ずつ仕切りがあって、時計どうしが当たらない
  • 中がベルベットなど柔らかい素材で、ケースやガラスに傷がつかない
  • 時計を巻く枕(クッション)が、手持ちの時計の大きさに合う
  • 留め具がマグネットでないもの(磁気帯びを避けるため)

たとえばこのくらいのケースです。ベルベット張りで、仕切りとクッションで1本ずつ収納できます。

湿気と直射日光を避ける

湿気は、革ベルトのカビや金属部分のサビの原因になります。直射日光は、文字盤やベルトの色あせにつながります。風通しがよく、日の当たらない場所に置きましょう。

ときどき動かす

長い間しまいっぱなしにせず、1か月に1回くらいは巻いて動かしてあげましょう。


ワインダーを使うなら、ちゃんとしたものを

高い時計を持っているなら、ワインダーもそれに見合ったものを使うべきです。何十万円の時計を、数千円のワインダーに載せて傷や磁気帯びのリスクにさらすのは、もったいないですよね。

目安として、このくらいのワインダーです。

オービタのスパルタ1は1本巻きで4万円弱、3年保証付き。高い時計を持っているなら、このクラスがおすすめです。

最低ラインは1万円以上。 それより安いものは、ここまで書いたトラブルが起きやすくなります。「ワインダーに1万円以上は高いな」と感じるなら、無理に買う必要はありません。安いワインダーで妥協するくらいなら、ワインダーなしで、止まったら巻き直すほうが時計にとって安全です。

選ぶときのポイントは次のとおりです。

  • 回転方向と回転数(1日あたりの回転数)を設定できる
  • 時計がしっかり固定でき、ケースに当たらない
  • 保証がしっかりしている(壊れやすい機械だからこそ)
  • 時計の大きさに合っている(大きい時計や厚い時計は、合わないワインダーも多い)

いちばん確実なのは、時計を持ってお店に行き、実物を見ながら店員さんに相談することです。時計がちゃんと固定できるか、ケースに当たらないかを、その場で確かめられます。


まとめ

  • 安いワインダーは安物買いの銭失い
  • 実際に磁気帯び・ケースへのぶつけ傷・巻き上がらない・ワインダー自体がすぐ壊れるといったトラブルがある
  • ワインダーは止めないための機械で、長持ちさせる機械ではない
  • 高い時計には高いワインダーを。買うなら最低1万円以上で、時計を持ってお店で相談
  • 1万円以上を「高い」と思うなら、ワインダーなしで止まったら巻き直せばOK。ただし月1回くらいは動かす
  • 保管は磁気・ぶつかり・湿気・直射日光を避けるのが基本

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